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2015年06月09日
シェフをつづけるということ

シェフを「つづける」ということ
以前うちにも取材に来ていただいた、井川直子さんは料理関係の記事では定評のあるライターさんです。それまで東京発でしかなかった料理の世界から、地方イタリアンというキーワードに目を向け日本各地のイタリアンを早くから取材をしたライターさんでもあります。
そんな彼女の新著です。イタリアで修行する日本人を取材した前作とも言えるイタリアに行ってコックになる―24 stories of Japanese in Italy.
前作は、イタリアへ夢だけではなく様々な希望と事情を持って渡ってきた人たちをイタリア各地でインタビューし、それぞれのその時の現在が描かれていました。10年が立ちその後の彼らがどうなったか、ある人は3星のオーナーシェフに、ある人は有名な観光地の歴史ある地区でリストランテの夢を実現、またアジアに乗りだし、北京やシンガポールで活躍している人、地方で地元食材に定評のあるお店を作った人・・・・。
でも、それだけではなく、親の介護や、働き過ぎから身体的な障害を持つことになった人、帰国してからは通用しないイタリアでの名声、経営上の問題、などなど成功にも見えるその影での苦悩も描かれます。でもここで登場するシェフたちは皆さん前をむいて、ある意味がむしゃらでそして挑戦を続けているように見えます。
自分がほんのわずかですがイタリアにいた時期は、それこそどんな僻地のリストランテにいってもそこには日本人がいると言われ始めた頃でした。本の中にも自分の知り合いや、同じお店にその後にいた人も登場します。石を投げればイタリア帰りのコックにあたる、そんな時代でシェフになること(最近はシェフもデフレですが、本来はその店のトップのことでコックの責任者です。)、自分の店を持つことは、日本の経済状況も考えればとても大変なことになってきています。
ある調査によると飲食店は、一年で30%、3年で50%、5年で70%、10年で90%が廃業するとう厳しい環境なのだそうです。
自分の店も今日で開業15周年を迎えました。今日まではなんとか10%に残れました。小さくても強いお店を目指してこの場所に移転してからは6年目です。慣れからの惰性に陥らにように、次からの10年を必要と思われる店を続ける為にも必要なことを考え実行したいと思います。
Posted by forchetta at 09:20│Comments(0)
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